青の6号

The end meets the beginning.

直島の風景に殴られた(2)

 誰もいない海岸の透き通った波打ち際に足をそっと入れる。なんだこの海岸は!

 

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 一泳ぎしてから木陰のベンチに座ってそよ風にふかれながら、さっき行ったベネッセ美術館に思いをはせる。

 あの美術館のデザインは、そもそもどこに建築するかから始まったそうだ。穏やかな瀬戸の海に突き出したこの島に決まったのは当然の帰結のように思う。完璧な場所だ。岸壁の高低をそのまま利用して立体的な導線を作り出している。コンクリートで切り取った青空と、作品とのコントラストが見事だ。

 この美術館には順路というものがない。人々は好き勝手な順序で鑑賞してゆく。同じ方向だったり、ぶつかり合ったり、一カ所にとどまったり。美術館そのもの、つまり建築と作品との一体感がある。上下左右に続く道を歩みながら、京都近代美術館の退屈な構造と間取りを比較する。

 美術館へは徒歩と専用の小型バスでしかたどり着けない。この点も評価できる。車では行けないし、自転車でも行けないようになっている。周りの環境もこの美術館の一部なのだ。

 さて、次は家プロジェクトゾーンへ行くか!